スワロウデイル・アンティークス

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アンティーク・ディーラーの責任

投稿日:2019年8月25日

うちのお店では、他で購入されたアンティーク家具でも直しを引き受けることがありますので、随分色々なものを目にします。

中には、これは酷いなあと思う修理が施されたものも結構あります

そういうものは正当な修復云々というレベルの話ではなく、もっと低レベルな修理です

例えば、強度を考えたら絶対にしないような直しとか、家具の機能がスポイルされているとか、いわゆるやっつけ仕事的なものですね

ある時はお客さんがよく怪我をしなかったなと思ったこともあります

こんな話をすると、人によっては私のお店がこだわりが強すぎるから、他が駄目に見えるんだという人もいますが、そんな話では全くないです

それはお客さんに安心して安全に使っていただけるものを提供するという基本に関わる話です

アンティーク家具の修復は、その家具や素材、製造法や歴史を踏まえて作業をするのが本来で、確かにそこに自分はこだわりを持っていますが、問題にしているのはそれ以前のレベルのことです

問題はこうした悪質な業者をどうしたら無くしていけるのかということですが、なかなか難しいですね

例えば本場イギリスにはBADAとかLAPADAという、アンティークディーラーの協会があります

お客さんは個別の業者に対するクレームをこうした協会に行うことができます

協会は受けたクレームを元に調査し、場合によってはイベントやオークションへの出店禁止処分をし、その事実を公表することができます

しかし、日本でこういった協会を作るのは難しいでしょう

理由はそもそもイギリスと日本では、アンティークディーラーの社会的責任に対する自覚に差がありすぎるからです

お客様へちゃんとしたサービスを提供する責任、社会的責任、歴史あるものを扱うことへの責任。

それはプライドと言い換えてもいいかもしれません。

そういうプライドを持った仲間が増えていくことを願いますが、ユーザーであるお客さんも、見た目に誤魔化されず、本物を見抜く厳しい目で見てほしいなと思います

お店もお客さんによって育てられるものですから