アンティーク家具、古道具全般、家具修復のスペシャリスト。お問い合わせはお気軽に
例えば、家具の脚など折れた場合は、単純に接着剤で付ければ良いと思いがちですが、接着前の下準備、しっかりとした固定など気をつけなくてはいけないことが沢山あります。
よく持ち込まれる家具にありがちなのは、日曜大工的に自分で治してみたけど駄目だったというものです。
ぴったりと接着されずに、接着剤が分厚く残っている場合が多く、こうなると綺麗に治すのは容易なことではありません。
うちのお店では、他で購入されたアンティーク家具でも直しを引き受けることがありますので、随分色々なものを目にします。
中には、これは酷いなあと思う修理が施されたものも結構あります
そういうものは正当な修復云々というレベルの話ではなく、もっと低レベルな修理です
例えば、強度を考えたら絶対にしないような直しとか、家具の機能がスポイルされているとか、いわゆるやっつけ仕事的なものですね
ある時はお客さんがよく怪我をしなかったなと思ったこともあります
こんな話をすると、人によっては私のお店がこだわりが強すぎるから、他が駄目に見えるんだという人もいますが、そんな話では全くないです
それはお客さんに安心して安全に使っていただけるものを提供するという基本に関わる話です
アンティーク家具の修復は、その家具や素材、製造法や歴史を踏まえて作業をするのが本来で、確かにそこに自分はこだわりを持っていますが、問題にしているのはそれ以前のレベルのことです
問題はこうした悪質な業者をどうしたら無くしていけるのかということですが、なかなか難しいですね
例えば本場イギリスにはBADAとかLAPADAという、アンティークディーラーの協会があります
お客さんは個別の業者に対するクレームをこうした協会に行うことができます
協会は受けたクレームを元に調査し、場合によってはイベントやオークションへの出店禁止処分をし、その事実を公表することができます
しかし、日本でこういった協会を作るのは難しいでしょう
理由はそもそもイギリスと日本では、アンティークディーラーの社会的責任に対する自覚に差がありすぎるからです
お客様へちゃんとしたサービスを提供する責任、社会的責任、歴史あるものを扱うことへの責任。
それはプライドと言い換えてもいいかもしれません。
そういうプライドを持った仲間が増えていくことを願いますが、ユーザーであるお客さんも、見た目に誤魔化されず、本物を見抜く厳しい目で見てほしいなと思います
お店もお客さんによって育てられるものですから
また、例によってInstagramからの転載ですが、当店が得意とする修復の仕事の写真ですのでこちらにも載せておきます。
雨漏りで水をかぶり仕上げが痛んだ椅子の修復です
このような直しはそれほど難しくありません
部分的な補修で大丈夫な場合がほとんどです
同じようなお悩みをお持ちの方はご相談ください
ところで、明日から三連休ですが、当店は通常営業です
ぜひお時間ありましたら遊びにいらしてください
よろしくお願いいたします
とても味のあるテーブルです
お客様の要望により丸い輪ジミだけを目立たないように修復しました
全体的な木味を損なわないように非常に気を使いました
自分としては輪ジミも気にならなかったのですが、実際直してみるとこの方が見栄えが良いのは確かですね
売約済みです
今年も神楽坂で開かれる「青花の会 骨董祭」に出させていただくことになりました。
すでに各出品者のおすすめ品などが、Facebook ページなどで紹介されております。
当店の1日目のおすすめ品も掲載いただいています
上のInstagramの投稿の中で触れている椅子は、実は2日目(最終日11日)のおすすめ品です
内覧会や初日ではお見せできないのでご承知ください
現在、骨董祭に向けて慌ただしく準備をしていますが、修復が間に合わないものも出てきそうな気配になってきました。
ずいぶん前から準備を始めていたのですが、結局いつものよう直前までバタバタしそうです。
ものによっては、ご購入希望の方とご相談してから修復を検討した方が良いものありますけどね(修復しない方が良いという選択肢もあり)。
何にしろ楽しみなイベントです
■日時
6月 9日(金)17−20時 *内覧会(青花会員および御招待者のみ)
6月10日(土)11−19時 *企画展「骨董と私」は13時より
6月11日(日)11−18時
■会場
①la kagu 2F soko 東京都新宿区矢来町67-2F ⇦当店はこちらにおります
②AYUMI GALLERY 東京都新宿区矢来町114
③AYUMI GALLERY CAVE 東京都新宿区矢来町114-B2
④セッションハウス・ガーデン 東京都新宿区矢来町158-2F
⑤セッションハウス・スタジオ 東京都新宿区矢来町158-B1
⑥工芸青花 東京都新宿区横寺町31-13 一水寮内
■入場料
1000円(出展者紹介・対談記事等掲載の小冊子付き)
・2日間共通+6会場共通(各会場の受付で御提示下さい)
・青花の会員は無料です(当日、会員証を御提示下さい)
・入場券は会場①−⑤の入口で10日の午前11時より販売します
詳しくは上記Facebookのリンク先か、こちらの青花の会骨董祭2017のページを御覧ください
ある飲食店さんで使っていただいている椅子を直しています
それはもう、普通ではありえないような壊れ方をしたりしていて大変です
しかし、ここまで使ってもらえるのはある意味嬉しくもあります
アンティーク、特にアンティーク家具に対する考え方は人に寄っていろいろあると思いますが、自分にとって古い家具は過去の遺物ではなく現在も一緒に生き続けている大切なパートナーのような存在です。
自分の何倍も生きている存在に対してパートナーというのは不遜でしょうか。まあ、おじいさんでも先達でも良いですが、大事なのは今現在を生きているということ。
美術館などに大事に陳列されるようになったらアンティークとしては終わりということです。
もちろん古い家具ですから、ものによっては気遣いが必要です。
椅子だったら日々、そばにおいて乾拭きしてやり、時々そっと座ってみる、そんな感じでも椅子は生きていると思います。
先にあげた飲食店で使うというのは正直ちょっと極端すぎますね。
でも、ちゃんと直せて使い続けられるのがすごいです。
ここに書いた考え方は自分の個人的な考えですが、しかしイギリスなどではクラシックカーでも日常的に使えるように修復して乗り回しているケースが多いように、なんでも動態保存が普通ですね。
ですから、自分の考え方もそんなに特殊ではないのかなと思います。
当店では仕事の一番大事な基盤を修復と考えています
これはもちろん見栄え良く飾るためではなく、お客様がストレスなくアンティーク家具との生活を楽しめるようにとの思いからです。
とはいえ手元を離れた家具をお客様がどういう風に扱われようが、それは自由です。それに対して物を申す事はありません。
時々、自分がなぜこの仕事をしているかということを思い出させられることがあるのです。
最近もそんなことがあったので文章にしてみました。
乱筆乱文失礼いたしました
いつまでも夏みたいな気候が続きますね。
昨日などは真夏と同じ格好で自転車に乗っていましたが、しっかり汗をかきました。
多摩川の土手を走っている時には、蛇が元気よく通り過ぎるのに遭遇しました
人間以外の生物も調子が狂ってしまうのではと心配になります
もっとも今日あたりは大分涼しく、これから急に寒くなるのかなと思うと、それはそれで寂しい気もします。
写真の椅子はギャラリーでご紹介済みのものですが、最近思い立ってレストアしたものです。
オリジナルのコンディションのままというのも良いのですが、べたつくような汚れがついたままだとお客様によっては購入に二の足を踏まれるかもしれません。ですので、ちゃんとクリーニングの終わった状態の椅子も見ていただけるようにしておこうというわけです。
背もたれや座面などは、直接体に触れるところなので重点的に汚れを落としました
木味は落ちるどころか、よりはっきりしてくるのがお分かりいただけますでしょうか?
これは真ん中の横棒(ストレッチャー)にピントを合わせました
アッシュ材独特のはっきりした木目が綺麗です
これは正面のストレッチャー
足をのせがちなところなので、上部が磨り減っているのがよくわかります
少し下から写したのは、元の彫り込まれた溝が、こすれない下部には残っているのがわかりやすいからです
この辺の木目も楽しいですね。
今はクリーニングが終わったばかりなので、全体に少々ツヤが強くなっていますが、これは徐々に落ち着いていき、逆に使用中によく摩れるところはますます磨きがかかっていくと思います。使えば使うほど良くなるのがアンティークの強みです。
この椅子の詳しいデータなどは、ギャラリーのこちらをご覧ください