スワロウデイル・アンティークス

アンティーク家具、古道具全般、家具修復のスペシャリスト。お問い合わせはお気軽に

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restoration

水が染みたダメージの修復

2017年11月2日

また、例によってInstagramからの転載ですが、当店が得意とする修復の仕事の写真ですのでこちらにも載せておきます。

雨漏りで水をかぶり仕上げが痛んだ椅子の修復です

このような直しはそれほど難しくありません

部分的な補修で大丈夫な場合がほとんどです

同じようなお悩みをお持ちの方はご相談ください

ところで、明日から三連休ですが、当店は通常営業です

ぜひお時間ありましたら遊びにいらしてください

よろしくお願いいたします

壁面の椅子

2017年8月25日

こんな風に座面を張りますという張りかけの状態をお見せするために準備した椅子なのですが、そのまま展示中です。
きっちり張り直すためには座面のベースを少々直さないといけないという事もあります。

ラッシュの張替えも自分のところの商品だけやっていましたが、少量でしたらお客様の持ち込みでも対応できますのでご相談ください。
使う材料は生のラッシュではなく、ツイステッドと言いまして、あらかじめ撚り合わせて製品化したものをイギリスから仕入れて使っています。
ですので、表面は通常の見た目と変わりありませんが、裏側は違って見えます。
と言いますのは、通常撚りをかけながら編む場合には裏面は捻らずストレートに持っていくやり方をするものなので見た目が少々異なります。
その他にもラッシュの太さとか細かいテクニックの違いがありまして、完全に同じようにはできませんので、ご承知ください。

この椅子は以前にもご紹介していてギャラリーにも載せてあります。(ギャラリーのページはこちらです
インスタグラムのコメント中にありますように、作られた村まで資料に載っていたという珍しい椅子です。

資料の名前をもう一度ここに書きますと。
Antique Collectors’ Club刊行 David Knell著 ’ENGLISH COUNTRY FURNITURE 1500-1900′
関連ページは305ページにあります

Antique Collectors’ Club の本はどれも重要な本が多く、うちにも何冊かあって常に参照しています
いつかゆっくり通読したいのですが、なかなか難しいですね。

臨時休業のお知らせ

2017年8月6日

Instagram投稿の通り、イベント参加のためお休みします

東京は世田谷代田で靴、バッグなどの修理をされているTaillisさんの主催するイベントです。

物を大切に使い続けることの意味を一緒に考える場となればと思います

当方は特に修復の実演などは行わない予定ですが、何世代にも渡って大事に使い込まれた椅子などの家具や古道具を、ドライフラワー工房 Rint-yさんの作品とともにコラボレーション形式で展示いたします。

『CAFE SHIMA』さん、今年9月に三宿にオープン準備中のカフェ『stand by SUNDAY』さんのおいしいコーヒーもお楽しみいただけます。

修復に興味のある方、靴の修理でお悩みの方、なんとなく興味を持たれた方、美味しいコーヒーが飲みたい方、どなたでもお気軽に遊びにいらしてください。入場無料です。

イベントの詳細はこちらをご覧ください

オークのテーブル

2017年7月13日

oak work table

とても味のあるテーブルです

お客様の要望により丸い輪ジミだけを目立たないように修復しました

全体的な木味を損なわないように非常に気を使いました

自分としては輪ジミも気にならなかったのですが、実際直してみるとこの方が見栄えが良いのは確かですね

売約済みです

連休中いかがお過ごしですか?

2017年5月6日

ladder back chair

例年、連休中のお店は暇なことがほとんどで、前回のポストには遊びに来てくださいと強調したぐらいですが、今年は久しぶりの方、普段いらっしゃらないようなお客様や、散歩中の方などにお立ち寄りいただき、おかげさまで寂しさを感じず楽しく仕事をさせていただいております。ありがとうございます。
今日を入れましてあと二日、土日のみとなりましたが引き続きよろしくお願い申し上げます。

写真の美しいラダーバックチェア、美しいと書きましたが仕入れた直後は足の長さが不揃いだったり汚れが残ったままと、お世辞にも綺麗とは言えない状態でした。短くなった足はちょっと木を足し、歪みを直しながら木組みを固定して、クリーニングをしたら、とてもシャキッと凛々しい姿になりました。

まあ、もともとイギリスで見出した時に「これぞ出会いたかったカントリーチェア」と小躍りしたぐらいお気に入りだったわけですけど。

よろしければギャラリーのこちらをご覧ください。もっと写真があります。
ここにあげた写真は色が少し実際より濃いように思います。ギャラリーで何枚か見ていただくと実際の色がわかりやすいかと思います。

追記 御売約いただきました

小ぶりなウィンザーチェア

2016年8月11日

small windsor

この椅子はなんとも言えない古色を帯びています

座面のエルム材の表情も面白く、複雑な木目に加えて縮れたようなパターンを描いています

シンプルな形もいいですね

小ぶりですが、男性でも座れます

ただ、ちょっと低いかもしれません

虫食い跡は例によって内部の殺菌や強化をしていますが表面の穴はふさいでいません

強度的に不安のあるところは、木材を交換してあります

古びた風情の椅子で、置いてあるだけでも絵になりますが、ちゃんと使えなければと思い時間をかけて修復しました

是非、実際にごらんいただければと思います

サイズなど詳細はギャラリーにアップしてありますので、よろしければごらんください

 from workshop 修復中の椅子から

2016年4月1日

rocking chair restoration

今回は修復中の椅子を色々な角度から見ていただこうという趣向です
すでにInstagram等で断片的にお見せしている写真もありますが、ここでまとめて詳しくご紹介します

 

上の写真が修復に取り掛かる前の状態です
座面は布張りになっていたのですが、座を支える骨組みが折れてしまったり釘でボロボロになっています
よく見ると、元の座面はラッシュというイグサの一種で編まれていたものであることがわかります
こういったカントリーチェアはラッシュ編みが普通で、骨組みにもその痕跡が残っています
過去のいずれかの時点で布張りにしてしまったのですね。

 

前回同様椅子を後ろから。二段あるストレッチャーの下の物は何故か裏側が平らです。これは割れて落ちたのではなく、材料節約の為に意図的に正面側だけちゃんと挽物加工したものと思われます。 chair from behind 2 #woodsaving #turner #stretcer

分解中に普段は見ない角度で椅子の前部を裏から見ています
面白いのが下側の横木(ストレッチャー)が部分的に平らになっているところです
これは後から欠け落ちたのではなく、最初から太さ(直径)が足りない木を使ってロクロ挽きしているのですね
普段目につかないところなので、材料を節約したのでしょう
こういう割り切りは結構目にします

 

rocking chair sledge

ロッキングチェアのソリの部分を外すためにひっくり返しているところです
この角度もあまり見ることはないと思います
なんか独特の、生き物のような存在感があります
長年の使用で木目が浮き上がっています

 

chair from behind #antique #chair #woodgrain

これも椅子の背もたれを後ろから撮ったもの
板の表面の凹凸がわかるように光の当て方を工夫してみました
一様に平らな面ではないことが見えます
機械製材ではなく、割り木などによる素朴な手作業で板にしたように思えます
ここでも裏側の下の方などは材料が足りない部分がありますね
裏だからいいのです(笑)

 

reconstruction chair

修復中の一コマ
分解して座面を支える骨組みを作り直しています
このように目に触れない部材はさらに大雑把に割っただけの木が使われています。
そこで新たに作り直す際もナタや斧を使ってざっくりと整形していきます。
座面を編んでしまえば見えなくなってしまうので、そこまでこだわる必要は本当はないのですが、なんかそうしないと気持ちが悪いのです。

 

rocking chair

汚れをテレピンで洗い、ビーズワックスで仕上げました
ニスやステインなどは使いません

 

最後にラッシュで座を編み上げます
本当は刈り取ったラッシュを何本か縒り合わせながら編んでいくのですが、さすがに国内で適当な材料が入手できないので、イギリスから持ってきた既に縒ってロールにしたものを使います。座面の見た目は変わりありません。

 

今回はちょっと違った視点から椅子の修復を取り上げてみました

 

いかがでしたでしょうか

 

 new item ペア・ラダーバックチェア

2015年11月15日

Ladder back chair for pr.

ギャラリーにアップしていたと思っていたら漏れていました

ラッシュの座面がかなり弱っていて切れそうだったので編み直したものです

ラッシュの座面を張り替える為にストリップされたラダーバックチェア。とても良い椅子です。 こちらは24日から日本橋三越のイベントに展示されます。二脚セットです。

これは、張り替える前に古いラッシュ(い草の一種です)を取り除いて、緩んだジョイントなどを修復した状態の時に撮ったもの

編み直しは結構時間がかかります、作業としては単純なのですが力加減にコツがあります

詳細データや写真などはこちらのギャラリーをご覧ください

 from workshop 可哀想な椅子

2015年10月17日

先日修復に持ち込まれたウィンザーチェアにはびっくりしました

何がと言ってその古い修理跡のひどさにです

何年か前にお客様が電話帳で調べて見つけた、椅子修理専門のプロという人に頼んだという話なんですが、、、

脚が抜けてしまうということでしたが、まず一見して気がついたのはプロポーションの狂い

使っているうちに狂ってしまったのかなと思ったのですが、修正しようとしても狂いが治らない

よく調べたところ、ジョイントを正しい向きで差し込まず、適当に突っ込んでいるので脚の角度やら何やらが出鱈目なのだとわかりました。

丸ほぞは角度を見ながら組まないと、おかしなことになります

おまけに、狂った角度のせいで入らなくなったところを削って無理やり突っ込んだり、機械打ちの釘を打ち込んで木割れを起こしたりと、もう修理というよりは破壊と言っても良い状態です。

そしてはみ出しまくった大量の接着剤の跡

技術的な稚拙さという点でも、仕事として人様にお金をいただくレベルではないのは明らかですが、僕が何より腹立たしく思うのは家具に対するリスペクトがまるで感じられないという事です。自分の仕事に対するプライドもまるで無い。

おそらく、その人は椅子の張り替えなどを専門にしている人だったのでしょう。残されたステープルから推測してもそんな感じです。

毎日数多くの仕事をこなさなくてはならず、とても余裕の無い状態だったのでしょうか

そんな時に、治すのが厄介な一品ものの古い椅子なんか持ち込みやがってと思ったでしょうか

しかし、その投げやりな修理のおかげで、およそ150年前の椅子が台無しになってしまったのです

おそらくその職人にとっては、椅子はただの飯の種で、仕事に愛着もなかったのかなと思います

最近いろんなところで、データ偽装やら何やら聞くので、日本人はどうかしてしまったのかと思っていましたが、どんなことでも、一つごまかし出すと延々と偽り続けなくてはならなくなるものです。

そんなほころびが目立つようになってきたということなんでしょうか

手仕事も一度ごまかし仕事をしてしまうと、ついつい繰り返すようになってしまうと思います

自分なんて別に正直者というわけではないですが、ごまかすのも下手だし、嘘をつき続けるのが面倒くさいと思うたちなので、なるべくごまかしは無しでという方向でやっていこうと思いますね。

実はいい加減な直しの跡を見るのは良くあることなのですが、今回はあまりにも酷かったのでついつい愚痴ってしまいました。

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 from workshop 汚れ落とし実演

2015年8月7日

cleaning yew wood

先日、ワックスを使った家具のクリーニングについて書きましたが、ご来店いただいたお客様に実演して見ていただきましたので、その時の様子をご紹介します。

上はウィンザーアームチェアの肘掛け部分です

黒っぽい汚れが見えますが、全体的にもうっすらと膜が張ったような状態で汚れています

最近のように高温で多湿な状態ですと、触ってもベタベタと気持ちの悪い状態です

cleaning yew wood

この写真の右半分先端方向が完全に汚れを落とした状態です

ビーズワックスを使って、先日のブログに書いたやり方でクリーニングしています。

最初の写真と同じ材料かと思うぐらい違いますね、ユーウッド(イチイの木)独特の薄紅色がかった色合いがきれいです。

同じ椅子の一本の部材で作られた肘掛けの右左ですから同じ材料なのです

さらにこの写真の左側は汚れを十分に落とさずにワックスをただ塗って布で拭き取っただけの状態です

一見綺麗なのですが若干くすんで見えますね。この状態ですとワックスの下に汚れを閉じ込めた状態なので、しばらく使っているうちに汚れがべたついてきます。

ですから、やはりワックスがけとしても不十分なやり方であることがわかります。

よく言うのですが、木味(パティーナ)と単なる汚れは違います

汚れを落として綺麗になった部分には古い木ならではの柔らかい色艶とスムーズな手触りがありますが、これが所謂パティーナなのです。

体に接しない部分など、あえて汚れを残して雰囲気を楽しむのもありなので、何が何でも汚れを綺麗にする必要は全然ありませんが、ワックスの本来の目的のひとつをご紹介させていただきました。

目の前でご覧いただいたお客様も納得されていたようでした。

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