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from workshop ワックスで古いワックスを落とす

投稿日:2015年7月23日

cleaning chair

前回、ご紹介したカントリーヘップルホワイト・チェアですが、汚れを落とそうと少量のワックスを布につけて擦ってみたところ、かなり濃い茶色の汚れが布に移ってびっくりしました。通常は黒っぽい汚れが布につくぐらいです。

おそらく、不適切な方法で濃い色のワックスがかけられていたものと思われます。

考えられるのは一般的にアンティークワックスとして知られている、濃い色のワックスを塗りたくって拭き取りをきちんとしなかったケース。

こういうことがありますので、ワックスを過剰に塗ったり、塗ったまま放置して後で拭き取ったりというやり方は、絶対に避けなければいけません。 カーワックスと違いますので塗り置きをしますと、後からどんなに丁寧に拭いても十分に拭き取れません。 その拭き残しは体温で温められたりすると、溶け出しますので服に色移りをしたりします。 温めなくとも徐々に蒸発しますので、以前実験したところ白いプラスティックケースを置いておくだけでも数日後には色移りが発生しました。

これを防ぐためには、ワックスを塗ったら直ぐに徹底的に拭き取ること。 円を描くようにぐりぐりと、少々摩擦熱が発生するぐらいの力具合で擦り、布に何もつかなくなるまで拭き取ります。 ワックスの成分は本当に微小なコンマミクロン単位の薄い膜が形成されれば十分ですので、完全に拭き取ってしまってください。それでも必要な分は残ります。指で撫でてみて白い跡が付くようですとまだ不十分です。最後は木目に沿って乾拭きしましょう。

洋服などへの色移りが懸念される場合は、色のついたワックスは使わずに無色のものを使うことも大事です。 本当のことを言えば、常に無色のビーズワックスの使用がおすすめです。 木味が落ちてしまった家具に着色ワックスを塗って風合いをそれっぽくするのは邪道と考えましょう。

 

さて、話は戻って件の椅子は、着色ワックスが使われて色移りも心配な状態なのでした。 一度取り除いてリセットしなくてはなりません。

通常修復をする場合、仕上げを直すにしてもワックスをかけるにしても古いワックスや汚れを専用の薬剤で落としてから行うものなのですが、こういう場合、もうちょっとお手軽な方法もあります。 それが新鮮なワックスで古いワックスや汚れを落とすという方法です。

0番から0000番ぐらいの細かいスティールウールに、無色のワックスをたっぷりとつけて優しく擦り、汚れを浮かせて即座に布で拭き取ります。拭き取り方は通常のワックスがけと一緒です。時間はかかりますがスティールウールの代わりに初めから布に多めにワックスをつけて擦っても大丈夫です。 ただし、くれぐれも拭き残しのないように気をつけます。

通常ビーズワックスはそのままでは塗りにくいので天然テレピンを溶剤にしている事が多いのですが、これはその溶剤をクリーナー代わりにして汚れを落とす方法です。 この方法ですと、塗装面などを傷めずに効果的に汚れを浮かして取り除く事が安全に行えます。

常日頃、お伝えしていますようにワックスの目的は表面保護だけではなく汚れを落とす事も大きな目的なのです。

拭き取りの布に汚れがつかなくなったら終わりですが、念のために時間をおいて繰り返すと万全です。最後はきれいな布で乾拭きします 。

その後は、基本的に乾拭きを繰り返すだけで大丈夫です。

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