アンティーク家具、古道具全般、家具修復のスペシャリスト。お問い合わせはお気軽に
先日、ワックスを使った家具のクリーニングについて書きましたが、ご来店いただいたお客様に実演して見ていただきましたので、その時の様子をご紹介します。
上はウィンザーアームチェアの肘掛け部分です
黒っぽい汚れが見えますが、全体的にもうっすらと膜が張ったような状態で汚れています
最近のように高温で多湿な状態ですと、触ってもベタベタと気持ちの悪い状態です
この写真の右半分先端方向が完全に汚れを落とした状態です
ビーズワックスを使って、先日のブログに書いたやり方でクリーニングしています。
最初の写真と同じ材料かと思うぐらい違いますね、ユーウッド(イチイの木)独特の薄紅色がかった色合いがきれいです。
同じ椅子の一本の部材で作られた肘掛けの右左ですから同じ材料なのです
さらにこの写真の左側は汚れを十分に落とさずにワックスをただ塗って布で拭き取っただけの状態です
一見綺麗なのですが若干くすんで見えますね。この状態ですとワックスの下に汚れを閉じ込めた状態なので、しばらく使っているうちに汚れがべたついてきます。
ですから、やはりワックスがけとしても不十分なやり方であることがわかります。
よく言うのですが、木味(パティーナ)と単なる汚れは違います
汚れを落として綺麗になった部分には古い木ならではの柔らかい色艶とスムーズな手触りがありますが、これが所謂パティーナなのです。
体に接しない部分など、あえて汚れを残して雰囲気を楽しむのもありなので、何が何でも汚れを綺麗にする必要は全然ありませんが、ワックスの本来の目的のひとつをご紹介させていただきました。
目の前でご覧いただいたお客様も納得されていたようでした。
タグ: restoration, yew