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ご存知の方も多いでしょうが、パブリック・フットパス(public footpath)というものが英国にはあります。私有地、公有地の別なく誰でも歩くことを楽しめる、通行権が公共に認められたいわゆる散歩道のようなものです。これが全土に張り巡らされており、長い距離を歩く本格的なトレッキング的なものから、ちょっとした散歩に適した公園のような短いものまで様々あります。
フットパスであれば私有地であっても自由に通れるのが面白いですが、そこを歩くのは危機管理を含めて自己責任とされますし、牧場や私有地を通過する際に開けた柵は必ず元に戻すなどのマナーは当然です。家畜が逃げ出さないように人だけが通れるような踏み段が柵に施されていることも多く、地方によってその仕掛けが変わっていたりするのも楽しいのです。こういう仕掛けをスタイル(stile)と言います。
田舎のB&Bなどに泊まった時は、朝早く起きだしてこういったフットパスを散歩するのも楽しいものです
ある日の朝、やはりいつものようにカメラ片手に散歩に出ました。こんもりとした木漏れ日の小道を進むと、牧場の柵に突き当たりました。そこには先ほどのスタイル(stile)が設置されていて、注意書きがありました。こういう注意書きは必ず読む必要があります。「散歩の人は牛を刺激しないよう犬をリードから離さないように」というような事が書かれているだけでしたので、安心してそのまま進みました。
しばらく歩くと牛の群れが見えてきましたが、何か様子が変です。かなり警戒されているようです。
しばらく見ていましたが、進むのを諦めて引き返すことにしました。
引き返しつつ遠くの景色の写真などを撮っていた時のこと、遠くにいた牛が何頭も足音を立てて駆け寄ってきてしまいました。その様子に危険を感じたので、刺激しないように知らんふりをしながらゆっくりと歩き続け、その場を離れました。先ほど通ったスタイルを越えた時、正直ホッとしました。それまで心臓がドキドキしていました。
後で聞いた話ですが、つい最近女性が牛に踏み殺されるという事故があったとのことでゾッとしました。写真を見ると子牛が写っていますので母牛に警戒されたのでしょうか。
牧場育ちの友人の奥さんも、放牧の牛は今でも怖いと言っていました
普段は牛はとてもおとなしいのですが、たまにそういう事があるとのこと、理由はよくわからないとも
まあ、もちろんこういう事を含めて自己責任です、朝のちょっとした冒険になってしまいました
その後は引き返して別のフットパスに行きました
こちらは動物はいなくて、農場沿いの草藪のようなところでした
その時撮ったのが上の写真です
朝露に足を濡らしながら暫く歩きまわり、朝の清々しい空気をたっぷり吸い込んで心を鎮め、その後朝食を食べに宿に引き返しました
しかし、朝の散歩にはウェリントンブーツが必需品ですね
今回はデッキシューズを履いていたので、あまり気にしなかったのですが、丸一日乾かなくて閉口しました
その時泊まっていたB&B
話好きの親切なオーナーでした