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ちょっと変わった素朴な椅子です。
なんか作りが素人っぽくも見えます。
すごく古くも見えますし、そうでもないようにも見えます。
このタイプはFamine chairとか、Hedge chair とか、もっとひどい言い方ではFool’s chairなんて言われます。
意味は飢饉とか垣根とか〇〇とかですよね
要は貧しい田舎のお百姓さんなどが手近な材料で作った椅子という意味のようです。
アイルランドはジャガイモの疫病のために18世紀と19世紀にひどい飢饉に陥った歴史があります。
特に19世紀の時は、そんなひどい食糧不足の中でもイングランドへの食糧輸出を強制され、またイングランド側も援助の手を差し伸べなかったということで、大勢の人が餓死しました。
そのため、アメリカやその他の国への多くの人が移住していきました。ケネディ家も元はアイルランドの人ですね。
イングランドとアイルランドの間の確執にはこのような歴史も重要な要因となっているようです。
アイルランドの田舎といえば飢饉、という連想なのでしょうか
なんか悲しい呼び名のような気がしますが、この手の椅子が多く作られたのもその飢饉の最中の19世紀中期だったようです。
この椅子は現在在庫にある商品ですが、過去に扱った下の椅子もやはり同じ名前で呼ばれるようです
この椅子は以前もご紹介しているのでご記憶の方もいらっしゃるでしょうが、座面の作り方が独特でした。
3枚の板を使って組まれた座面の真ん中だけが薄い板で、それを支えるように前後の厚板から貫が渡してあります。
まるで家を作る大工さんのようなやり方です。
こんな椅子は他にないだろうと思っていたのですが、このタイプもアイルランドの一部では作られていたことがわかりました。
この椅子は売約済みです。
アンティークの椅子の世界は奥が深くて、面白く、調べがいがあります。
タグ: chair, country chair, Irish, primitive